――――――――――――――――――――

【中国経済の国際競争力】

【中国企業の国際競争力】

・以下,注記などについてはあえて外してあります。

・詳細をお知りになりたい方はこちらまでご連絡下さい。

・引用などなされる場合はこちらをご参照のうえ、注意事項を必ず守って下さい。

――――――――――――――――――――

 

 

【中国経済の国際競争力】

 

 

IMD世界競争力ランキング

 主要国・地域の総合的な国際競争力については,国際経営開発研究所(International Institute for Management Development;以下,「IMD」)が出版する“World Competitiveness Yearbook”(『世界競争力年鑑』)を引くことができる(※1)。これによれば,中国は総合ランキングで1994年に第34位,1997年には第21位へと上昇したが,2001年には第31位へと後退し,2002年では第12位へと再び上昇した(※2)。

1IMDはアンケート調査法で市場の反応を評価している。中国は1995年版からIMDに正式加盟し,国家体制改革委員会研究所・中国(深)総合開発研究院・中国人民大学統計系と国際経済系による「中国国際競争力課題組(ワーキング・グループ)」が調査を開始した。ちなみに,日本は電通総研が負っており,IMDはこうした資料にもとづき毎年の状況をランキング評価する。

22002年度(同年鑑2003年版)より人口区分を設けたのでランキングに連続性はないが,中国が含まれる2000万人以上の国・地域では米国・オーストラリア・カナダ・マレーシア・ドイツなどの順でランキングが高かった。また,2000万人以下ではフィンランド・シンガポール・デンマーク・香港・スイスなどの順となっている。

 

 

WEFグローバル競争力ランキング

 他方,民間の世界経済フォーラム(World Economic Forum;以下,「WEF」)も指数化した各種経済指標により構成される“Global Competitiveness Yearbook”(『グローバル競争力年鑑』)を公表している。中国は総合ランキングで2002年に世界102カ国・地域中,第44位となった。2001年は第38位でランクを落としたのだが,これは公共(行政)部門の非効率性が顕在化したことによる(※3)。これを東アジアの国・地域でみてみると,図表のようになる。2002年のランキングにおいて,「マクロ経済環境」では日本に次いで第6位,「成長競争力」ではタイに次ぐ第8位となった。「技術力」と「革新力」はそれぞれ第8位と第11位で,「公的機関の効率」と「契約と法令の信頼性」では第7位と第9位,「企業運営と戦略性」と「機関投資家からみた国の信用性」ではそれぞれ第8位と第6位であった。総じていえば,「革新力」と「技術力」のランキングで順位を落としており,また「公的機関の効率」と「契約と法令の信頼性」も相対的に低いランク(競争力が劣る結果)となっている。現在の中国は,政府の政策の欠如や不透明性,根強い保護主義の動き,政府組織の複雑さ,行政措置のあり方など,制度的障害に問題があるとみられている。

3:公的機関の効率性指数では第52位であった。なお,マクロ経済指数は第25位,技術力指数は第65位,成長競争力指数は第44位,商業競争力指数は第46位であった。ちなみに,日本は総合で第11位であった。

 

図表 東アジアの競争力指標‐WEF競争力ランキング:2002年‐

マクロ

経済

環境

成長

競争力

技術力

革新力

公的機関

効率

契約と

法令の

信頼性

企業運営

と戦略性

機関投資

家の国の

信用性

1

シンガポール

2

香港

3

台湾

4

韓国

5

日本

6

中国

7

タイ

8

マレーシア

フィ

9

ベトナム

フィ

フィ

10

フィリピン

フィ

 

 

 

 

11:中

 

 

 

 

〔注記〕「成長競争力」以降は,国・地域名を略称。なお,「イ」はインドネシアを示す。「革新力」の欄外「11:中」は「東アジア第11位:中国」を示す。

【出所】WEF, Global Competitiveness Yearbook 2003.

 

 

【中国企業の国際競争力】

 

 

・フォーチュン誌「グローバル企業500社」 

 世界の企業の競争力をはかるには,“The Fortune Global 500”(「グローバル企業500社」)がある。中国はフォーチュン誌のランキングを重要視する傾向があり,学者,政府関係者の間では企業競争力育成のための参考資料とし,また企業経営者は世界的な多国籍企業の経営指標を一目標と意識している。同誌(20037月)に入った中国企業は全11社で,昨年と比べると著しい変化はみられない。だが,個別にみれば石油や金融,電気通信などの産業を中心に順調な成長をとげており,例えば中国石油と中国石油化工は石油採掘業でそれぞれ世界第8位と第9位に入った。また,中国人寿保険は総収益において対前年比56.5%もの増加をみせ,保険業界では世界第11位となった。さらに,中国工商銀行は総収益において,りそなホールディングスの約2倍に達しようとしている(※4)。

4:しかし,純利益では工商銀行が789万米ドルであったのに対し,りそなが6874万米ドルであり,りそなが工商銀行の約8倍に達しようとしている。

 

図表 「グローバル企業500社」入りした中国企業 (単位:100万米ドル)

順位

企業名

総収益

純利益

純資産

株主権益

69

中国石油

44864.4

5400.4

88933.6

54421.0

70

中国石油化工

44503.2

445.9

69695.7

22879.1

230

中国移動通信

19783.3

3706.4

44517.0

28745.7

237

中国工商銀行

19528.5

788.6

577110.6

21530.4

248

中国化工輸出入

18763.0

96.9

5119.5

1340.9

254

中国電信

18012.6

937.7

58482.5

28786.5

290

中国人寿保険

16379.3

97.2

36232.5

940.7

332

中国銀行

15030.9

1141.2

434201.6

26538.4

371

中国建設銀行

13539.4

520.0

372499.3

12955.8

384

中国糧油輸出入

13218.1

115.7

5142.6

1785.2

488

中国農業銀行

10335.3

139.2

305421.6

16087.7

【出所】Fortune, July. 21. 2003.

 

 

・アジアウィーク誌「アジア企業1000社」 

 アジアの企業群については“Asianweek 1000”(「アジア企業1000社」)がある。同ランキング(200312月)に入った中国企業は全34社で昨年よりも1社増えたが,ランキングにはフォーチュン誌と同様に著しい変化はみられない。しかし,ランキング入りした中国企業は,昨年のランキングよりも順位を上げて総じて順調な成長を遂げており,こうした超大型国有企業は中国経済のリーディング・セクターであるとも評価されている。業種別にみれば,電力,石油,電気通信,自動車,流通などが入っているが,例えば中国国家電力は総収益において東京電力(39230.5万米ドル)の約1.2倍,純資産ではトヨタ自動車(165423.0万米ドル)の次ぎのアジア第2位となっている(※5)。また,中国石油は総収益でアジア第25位の新日本石油(33394.9万米ドル)に続き,純利益では同じくトヨタ(7533.9万米ドル)の次ぎのアジア第2位にまで入った。電気通信では,中国移動(香港)と中国電信が高い収益を得ているが,前者は純利益において日産(3949.0万米ドル)を抜いてアジア第5位,後者はNTT1861.1万米ドル)を抜いてアジア第12位となった。自動車では,中国第一汽車が中国企業トップではあるものの,総収益で富士重工(10944.5万米ドル)やいすゞ(10762.0万米ドル)と同じ規模であり,アジア第1位のトヨタには遠く及ばない。しかし,日本のゼネコンや不動産,電機・機械,運輸などを中心に赤字幅が増えているのに対し,中国企業は近年の世界的な大型のM&AMergers and Acquisitions;企業の買収・合併)や高い国内需要を背景にして,その成長率を高めつつある。

5:フォーチュン誌には中国国家電力公司が入っていないが,これは近年の業界再編(1997年以降に国家機関から改組され,現在は3大企業グループと6の地域公司,26の地方公司に再編している)と,企業の海外金融市場での資金調達などが関係し,資本関係がやや複雑になっているからであるとされる。

 

図表 「アジア企業1000社」入りした中国企業,前10社 (単位:100万米ドル)

順位

企業名

総収益

純利益

純資産

株主権益

13

中国国家電力

48375.1

981.8

162668.5

53444.0

17

中国石油化工

41082.8

1942.7

45412.7

18664.4

28

中国石油

29530.5

5667.5

58372.5

38259.8

47

中国化工輸出入

18761.3

101.3

5119.6

1340.9

61

中国移動(香港)

15532.3

3955.8

34420.7

20804.9

72

中国糧油食品輸出入

13222.9

115.7

5144.5

1785.9

97

中国第一汽車

10209.0

519.6

n.a.

n.a.

118

中国電信

9121.2

2037.5

25474.4

15103.1

150

中国普天信息産業

7276.5

n.a.

n.a.

n.a.

163

東風汽車

6447.2

n.a.

n.a.

n.a.

【出所】『亜洲週刊』(Asiaweek中国語版)2003127日号。


連絡用 E-Mail:yasugi@ac.fm
⇒トップへ戻る



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送